猫山猫之介の観察日記

猫なりに政治や社会について考えているんです。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

成功体験がのちの政策を束縛する

とある経済新聞は5月末に策定される予定の成長戦略が貧弱なものに終わることを懸念しているようだ。 その理由は自動走行やドローンといった流行りの施策が「的」として盛りだくさんに盛り込まれているのだが、それを実現するための「矢」が足りないことにあ…

国際合意の束縛的効果と危機に瀕する日韓慰安婦合意

なぜ政府は他国と合意を結ぶのか。 その理由は多岐にわたろうが、理由の1つがのちの政権の意思決定の拘束にある。 ある政治指導者が自身の望む政策をのちの世代まで残したいとしよう。政権交代の際に次の政権に残すよう頼むことも可能だが、次の政権がその約…

たとえ話の誤謬と認識の政治

ベンサムの功利主義、特に最大多数の最大幸福という概念はほぼ全ての哲学の教科書に載っている。 そして、しばしば彼の功利主義を説明(批判)する際に次のようなたとえ話がなされる。 すなわち、一人の生贄を犠牲にすることで、他の多くの人々が救われるの…

愚かな指導者にどうやって引導を渡すか—頑迷な現状維持派にはあえてアメを与えよ—

アセモグルとロビンソンによれば国家の経済発展をもたらす最たる要因は政治的・経済的制度であるという。 より具体的には自由民主主義のような包括的な政治制度と自由主義的な経済的制度を有する国家は発展し、対象的に権威主義的な収奪的政治制度や奴隷制や…