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通商問題の政治学

通商問題がどのように発生し、そしてどのように合意が成立するのか掘り下げてみたくていろいろ考えてみることにしました

真っ当な非主流派から本格的な非主流派への流れ

 

マクロン氏の勝利、しかし次はルペン氏か? 

周知のとおり、フランスの大統領選挙ではマクロン氏が勝利した。極右のルペン候補が当選しなくてホッとしたといったところだろう。

 

これで(マクロン氏が途中で辞めない限り)大統領の任期である次の5年はひとまず持ちこたえられる見通しが立ったわけだが、しかし、次回の大統領選挙ではルペン氏が当選するんじゃないかと私は危惧している。

 

というのも、真っ当な非主流派から本格的な非主流派に転換したアメリカと同じ道を辿るような予感がしているからだ。

 

真っ当な非主流派オバマ大統領 

トランプ大統領と民主党候補者選びでヒラリー氏と争ったサンダース氏のインパクトが強いから、今回初めてアメリカで非主流派の大統領が選ばれた印象が強いが、なかなかどうしてオバマ氏も初の黒人大統領であり、国レベルでの政治経験が乏しかったという意味ではそれなりに非主流派の人物であったと思うのだ。

 

あのときも民主党候補者選びではヒラリー氏が圧倒的に優勢と見られていた。しかし、選挙に当選したのは若くて当時はヒラリーに比べて知名度も経験も劣るオバマ氏なわけで、当時は80年代後半から続くブッシュ家とクリントン家による主流派の「王朝支配」を米国民が嫌ったのだ、と分析されたのである。

 

つまり、オバマ氏も反主流派の流れで大統領になったといえるのだ。当時、トランプ氏が共和党候補なら選挙で勝てなかったではないだろうか。そもそもトランプ氏のような常識外れの候補者がいなかったこともあるが、多くの人はこれまでと違うことをやりたい場合、一気にラディカルに変えるというよりも、今までとは違うが、とはいえそれなりに穏当な選択肢を選ぶだろう。

 

そうして選ばれたのがオバマ氏だったのだと思う。実際、彼は「チェンジ」(Change we can believe in)を旗印にしていたわけで。

 

本当に彼の政治運営がダメだったのかはわからない。オバマケアだって、日本人の感覚からすれば真っ当な政策のようにも思えるし、確かに大統領令を積極に使うことで議会との協調を疎かにした面はあろう。しかし、議会との協調を上手くやるかなんて、有権者は考慮するのだろうか。

 

と、オバマ氏に対する評価はいろいろあり得ようが、今ではオバマ氏を非主流派だと思う人はおらず、彼の支持率も低迷した。結果、穏当な非主流派を選んでも満足できず、さらに民主党の候補者がゴリゴリの主流派なもんだから、となると、通常のクスリに満足できなかった人がトランプ氏という劇薬を求めたようなものではないだろうか。

 

真っ当な非主流派に失望したら。。。 

大概の場合、主流派が自由貿易を支持し、保護貿易を頑迷な政策と批判する。それは理論的には正しいのだろうが、人がその主張に説得されるかどうかは、発言の正しさではなく、発言者の魅力に依存することも多い。とすれば、嫌われ者の主流派が自由貿易を支持すればするほど、自由貿易への支持が低下するというもので、自由貿易を支持する穏健な非主流派に失望したとき、人々が保護貿易を支持する劇薬に手を出す可能性が高くなるだろう。

 

しかし、どんな天才であっても経済成長を達成しつつ、手厚い社会保障を提供し、失業率も改善させ、人の移動を支持しつつ、テロや治安を不安を解消するのは至難の技だ。ムリゲーと言ってもよい。

 

とすると、マクロン氏がみなの期待を満たすのはほぼ不可能なのであり、既存の政治に辟易し、だから穏健な非主流派を選んだのに、それでも上手くいかないのだとすれば、次はルペン氏の登場となるのだろう。決して楽しい未来ではないが。